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酸素吹石炭ガス化複合発電実証試験発電所設置計画に係る環境影響評価方法書に対する知事意見

印刷用ページを表示する掲載日2011年11月22日

 

全体的事項

 (1) 準備書の作成に当たっては,事業計画や環境調査等に関する情報の記載方法を工夫するなど,判りやすい図書づくりに努めるとともに,県民や関係市町などに対して丁寧な説明を通じて,より多くの環境保全上の見地からの意見を収集し,環境配慮に資すること。

(2) 計画作成の早期段階における環境保全に関する事業者の考え方が明らかになっていないため,「発電出力を17万kW級に設定した経緯」及び「対象事業の内容を具体化する過程における環境保全の配慮についての検討の経緯及びその内容」について,より詳細に準備書に記載すること。

(3) 環境影響評価に係る項目の選定,調査,予測及び評価の実施に際して,専門家等から助言を受けた場合には,当該助言の内容及び当該専門家等の専門分野を記載すること。

(4) 実証試験終了後において,工作物の撤去若しくは廃棄が行われることが予定される場合,これらの撤去又は廃棄に係る影響を影響要因として整理し,記載すること。

(5) ガス化方式等従来方式とは異なるプロセスとなること,更には実証試験による運転条件が変化することが想定されることから,排出される環境負荷に係る物質の種類,濃度及び処理方法について,準備書で明らかにすること。

(6) 事業内容が明らかになっていない部分については,今後の計画熟度の高まり及び調査の進展等に応じて,新たな環境要素及び環境影響要因を整理し,準備書に記述するとともに,その具体化した計画の内容を踏まえて的確な環境影響評価を行うこと。また,項目の選定及び手法の選定等に係る事項に新たな事情が生じたときは,県と協議を行うとともに,関係市町に報告すること。

(7) 環境影響が最大となる時期を明らかにすること。また,最大となる時期が,IGCC実証試験発電設備の稼動と,CO2分離回収実証試験設備の建設工事が同時に行われる時期である場合は,予測条件を適切に設定すること。

(8) 事業計画及び環境保全措置の立案に当たっては,引き続き知見の収集に努め,環境保全設備に関する最新技術について積極的な導入を検討すること。また,最新かつより良い技術が採用されているか,複数案を比較検討し,その結果を準備書に記載すること。

(9) 中国電力(株)大崎発電所が所有する既存設備を利用する場合,環境監視体制などの役割分担について,環境影響要因ごとに,準備書に記載すること。

個別的事項

(1)事業計画関係

  IGCC実証試験発電所への陸上交通ルートは,安芸津港及び竹原港からのフェリー航路を経由し,大崎上島循環線等を利用して対象事業実施区域へ至るルートとされている。陸上輸送の運搬については,フェリー内での車両混雑など一般車両への影響が想定されるため,海上輸送へのシフト,搬出入車両台数の平準化などの環境影響に対する低減措置と併せて検討を行い,その結果を準備書に記載すること。

(2)大気環境

 当該地域は,光化学オキシダントに係る環境基準が未達成,浮遊粒子状物質についても環境基準が未達成となる年度があることを踏まえ,次の3点について,その結果を準備書に記載すること。

・ 実証試験発電所からのばい煙排出量については,環境保全の観点から最新かつより良い技術を導入するなど,一層の低減策についての検討
・ 事業実施による揮発性有機化合物(VOC)の排出の状況を確認した上で,必要に応じて,VOCに係る低減策についての検討
・ 新たに環境基準が設定された微小粒子状物質に対する国等の動向に留意し,事業者としての取組みについての検討

(3)水環境

〇 工事中に発生する建設工事排水等は,仮設沈殿槽を使用し,必要に応じて中国電力(株)大崎発電所の排水処理設備で適切に処理を行う計画としている。その排出水発生フローや使用する薬剤等の成分,使用方法,排水の水質等について明らかにするとともに,工事の工程ごとの排水性状に応じた排水処理計画について検討し,その結果を準備書に記載すること。

〇 一般排水について,プラント排水,生活排水それぞれの排出水発生フロー,処理方法,排水の水質等について明らかにするとともに,中国電力(株)大崎発電所の既設排水処理設備で適正に処理できることを明らかにすること。

(4)動物・植物・生態系

〇 IGCC実証試験発電所の建設工事に伴う照明及び建物照明について海生生物への影響が懸念されるため,海域への照射の程度を把握し,その環境への影響の程度によっては照明に係る環境保全措置を検討すること。

〇 放水口付近は,水温上昇の影響を受けやすいと考えられるため,底生生物の調査地点については,適切に選定すること。

〇 放水口付近の藻場への影響については,生物的構成要素並びに無機的環境の構成要素に留意し,藻場の生物生息機能に着目して,適切に環境影響評価を行うこと。

〇 津々木島鳥獣保護区(集団渡来地)は,「津々木島の区域及び同島の最大満潮時海岸線から2km以内の海面」を指定しており,その生息環境が適切に保全されるよう配慮すること。

〇 土地改変予定区域に位置する汽水性の池について,埋立ての必要性について十分検討し,その結果を準備書に記載すること。また,池の保全について最大限配慮すること。

〇 「地域を特徴づける生態系」において,注目種の抽出に当たっては,文献調査及び現地調査の結果並びに専門家等の指導・助言を踏まえ,自然環境と生物群集の分布の状況,食物連鎖関係を示す食物網の模式図等を基に,調査区域の生態系の構造及び機能を把握した上で行うこと。

〇 地域を特徴づける生態系において,注目種の選定に当たっては,上位性並びに典型性に加え,文献調査及び現地調査の結果に応じて,特殊性の視点も考慮すること。

(5)温室効果ガス

〇 IGCC実証試験発電設備の単独稼働時と,CO分離回収実証試験設備が同時稼働時について,CO排出状況を把握するため,発電効率及びCO排出原単位を算定し,算定根拠を準備書に記載すること。また,他の事例等と比較するなどにより,排出削減の効果を明らかにすること。

〇 発電した電力については,中国電力株式会社に全量売電する計画とされており,電気事業連合会の環境行動計画との関係について整理する必要があるため,この事業によって増加するCOの最終的な排出者を準備書に記載すること。 また,本県は,平成22年度に地球温暖化対策地方公共団体実行計画を策定することから,温室効果ガス削減に関する今後の国等の枠組みに留意し,必要に応じて,その整合性を適切に図ること。

(6)その他

  IGCC技術の長所として,使用する炭種を拡大できることが知られている。石炭の産地や炭種の違い,又は新しいプロセスによって,燃焼後の環境への影響の程度が変動するおそれがある。使用する石炭の性状等を踏まえ,微量物質について環境影響評価項目に選定しなかった理由を具体的に準備書に記載すること。なお,環境への影響が懸念される場合は,微量物質に係る環境影響評価を実施すること。

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