高等学校新学習指導要領 外国語科         
 
1 改訂の趣旨
  外国語全体及び高等学校外国語科の改善については,平成10年6月22日に公表された
 教育課程審議会答申の中で,次のように示されました。
  まず,改善の基本方針として,次に述べる3点を示しています。
 @これからの国際社会に生きる人間として,世界の人々と協調し,国際交流などを積極的に
   行っていけるような資質・能力の基礎を養う観点から,外国語による実践的コミュニケーション
  能力の育成にかかわる指導を一層充実するとしています。その際,外国語の学習を通して,
  積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度と,視野を広げ異文化を理解し尊重する態度
  の育成を図ることを掲げています。
 A実践的コミュニケーション能力の育成を図るため,言語の実際の使用場面に配慮した指導
  の充実を図るとしています。
 B国際化の進展に対応し,外国語を使って日常的な会話や簡単な情報の交換ができるような
  基礎的・実践的なコミュニケーション能力を身につけることがどの生徒にも必要になってきて
  いるとの認識に立って,中学校及び高等学校の外国語科を必修とすることとし,その際,中学
  校においては,英語が国際的に広くコミュニケーションの手段として使われるいる実態を踏ま
  え,英語を履修させることを原則としています。
 
2 改善の具体的事項
 <改善の観点>
  中学校の学習を踏まえながら,四つの領域の言語活動の有機的な関連を図った指導を展開
 するなかで,@実践的コミュニケーション能力を育成すること及び 
 A生徒の個に応じた指導を一層充実することを掲げています。
 
 <具体的事項>
 @英語の科目の構成は,「オーラル・コミュニケーションT」,「オーラル・コミュニケーションU」,
  「英語T」,「英語U」,「リーディング」及び「ライティング」と改めました。
 A言語活動,言語材料,材料,指導上の工夫及び配慮事項は,各科目のねらいに配慮しつつ,
  中学校と同様の趣旨で改善を図るとしています。
 B科目履修の際の順序性については,まず,T,Uを付した科目は,Tを履修した後にUを履
  修することとなっています。また,「リーディング」及び「ライティング」は,「オーラル・コミュニケ
  ーションT」又は「英語T」を履修後に履修することとなっていいます。
 C英語以外の外国語については,その科目の構成,内容,指導方法等を弾力的に扱うことがで
  きるようにし,地域の実情や学校の実態に応じ,その履修が一層推進されるように配慮すると
  しています。
 
3 改訂の要点
 @教育課程上の位置付けとして外国語科を必履修教科としました。これは国際化の進展に対応
  し,外国語を使って日常的な会話や簡単な情報の交換ができるような基礎的・実践的なコミュ
  ニケーション能力を身に付けることがどの生徒にも必要になってきているとの認識に基づくもの
  です。その際,英語を履修する場合には,「オーラル・コミュニケーションT」及び「英語T」のう
  ちから1科目を選んで必履修科目とすることとなっています。
 A教科の目標は,外国語を通じて,言語や文化に対する理解を深め,積極的にコミュニケーション
  を図ろうとする態度の育成を図り,情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現し
  たりする実践的コミュニケーション能力を養うとしています。
 B実践的コミュニケーション能力を育成するための言語活動を一層活発に行うため,従来の「言語
  活動」を「言語活動」と「言語活動の取扱い」の二つに分けて示しました。
  「言語活動」においては,従来のように,聞くこと,話すこと,読むこと及び書くことの4領域におけ
  る言語活動をそれぞれ独立して示すことを改め,これら4領域の有機的な関連を図った「コミュニ
  ケーション活動」を示し,「コミュニケーション活動」の基本条件を示しています。
   「言語の取扱い」は「指導上の配慮事項」と「言語の使用場面と働き」の二つに分けて示してい
  ます。「指導上の配慮事項」には,「言語活動」で示した「コミュニケーション活動」を効果的に行う
  ために適宜指導すべき発音,文型や文法事項,非言語的手段などに関する指導事項を掲げ,実
  践的コミュニケーション能力を育成するための指導の全体的な在り方や構造を明確にしています。
  「言語の使用場面と働き」では,各科目で主として取り上げるべき言語の使用場面と働きの項目
  を設けています。これによって,言語の使用場面と働きを有機的に結びつけた言語活動を行いや
  すくしています。
 C中学校での学習内容と密接な関連を図るとともに,実践的コミュニケーション能力を育成するため
  の言語活動を一層活発にするために,言語材料の精選を図っています。
 D外国語が必修教科となり,英語を履修する場合には,「オーラル・コミュニケーションT」又は「英
  語T」のいずれかをすべての生徒に履修させることになったことを受けて,これらの科目の内容の
  取扱いにおいて,中学校における学習事項の習熟を図ることを重視しています。
4 外国語に関する科目の改訂の要点
 @「オーラル・コミュニケーションT」
  ・必履修科目の一つとして,中学校の学習を踏まえ,聞くこと及び話すことの音声によるコミュニケ
   ーション活動の指導を重点的に行う。
  ・積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。
  ・特に,日常生活の身近な話題について情報や考えなどを伝え合ったり,発表したりするような能
   力を育てることを目指す。
 A「オーラル・コミュニケーションU」
  ・「オーラル・コミュニケーションT」の基礎の上に,聞くこと及び話すことの音声によるコミュニケー
   ション活動の指導を発展的に行う。
  ・積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。
  ・特に,幅広い話題について情報や考えを整理し,話し合ったり討論したりする能力を育てることを
   目指す。
 B「英語T」
  ・必履修科目の一つとして,中学校の学習事項の一層の習熟を図りながら,生徒の総合的なコミュ
   ニケーション能力を育てる指導を行う。
  ・積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。
  ・特に,日常的な話題について聞いたり読んだりしたことを理解し,その内容にについて,自分の意
   見をまとめ,それを発表したりするような,総合的な言語活動を行う。
 C「英語U」
  ・「英語T」の基礎の上に,生徒の総合的なコミュニケーション能力を育てる指導を発展的に行う。
  ・積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる。
  ・幅広い話題について聞いたり読んだりしたことを理解し,その内容について,その要旨を書いたり,
   話し合ったりするような,総合的な言語活動を行うようにする。
 D「リーディング」
  ・読むことが文字によるコミュニケーションであることを踏まえ,英語を読んで,情報や書き手の意向
   などを理解する能力を育成する。
  ・目的や場面に応じて効果的に読み取ることができるようにする。
  ・読み取りの能力を活用して積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図る。
 E「ライティング」
  ・書くことが文字によるコミュニケーションであることを踏まえ,情報や考えを英語で適切に書く能力
   を育成する。
  ・書く目的を考えながら効果的に書けるようにするため,書く過程を重視した指導を行う。
  ・書く能力を活用して積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図る。
 
  なお,英語以外の外国語については,地域の実情や学校の実態に応じ一層積極的に開設され弾
  力的な指導ができるようにするため,学習指導要領において特に規定せず,学校設定科目として設
  けることとしています。その際、英語以外の外国語に関する科目については,英語に関する科目の
  目標及び内容などに準ずるものとしています。
 
5 外国語科の目標
  外国語科の目標は「外国語を通じて,言語や文化に対する理解を深め,積極的にコミュニケーション
  を図ろうとする態度の育成を図り,情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現したり
  する実践的コミュニケーション能力を養う。」となっています。
 この外国語科の目標は,次の三つの要素から成り立っています。
 @外国語を通じて,言語や文化に対する理解を深めること。
 A外国語を通じて,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成すること。
 B外国語を通じて,情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現したりする実践的コミュ
  ニケーション能力を養うこと。
 教育課程審議会答申の中で,「どの生徒にも必要となっている」とされた「実践的コミュニケーション能
 力」が,外国語科の目標において,「情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現したり
 する実践的コミュニケーション能力を養う。」と表現されています。この「実践的コミュニケーション能力」
 の意味するところ(本質)を理解することが重要です。教育課程審議会答申の「日常的な会話や簡単な
 情報の交換ができる」ことや,教科の目標の中に述べられている「情報や自分の考えなどを表現したり
 する」という部分から,「情報」,「意向」,「考え」などの「意味内容」を伝え合う能力が実践的コミュニケ
 ーション能力であると考えられます。従来,語彙や文型,文法事項などについての知識を増やすことや,
 それらをうまく操作する力を育成することに偏りがちでしたが,実践的コミュニケーション能力としてはそ
 れだけでは十分ではありません。
  また,外国語科の目標として,他に「言語や文化に対する理解」及び「積極的にコミュニケーションを
 図ろうとする態度の育成」があります。これらと「実践的コミュニケーション能力の育成」という目標との
 関係を理解することも重要です。すなわち,「実践的コミュニケーション能力」は,言語の現実的な使用
 場面で実際に情報や考えを伝え合うことができる能力ですが,そのような場面では,相手のもつ言語や
 文化に対する正しい理解が当然必要になり,また,積極的にコミュニケーションを図ろうとしなければコミ
 ュニケーションは成立しません。その意味で,これら二つの目標は「実践的コミュニケーション能力」を支
 えていると言えます。さらに,実際にコミュニケーションの経験を豊富に積むことによって,言語や文化に
 対する理解が深められ,コミュニケーションを図ろうとする意欲も高められていくのです。つまり,「実践的
 コミュニケーション能力」が,外国語教育で目標とされる資質,能力,態度の中核となっているのです。
  また,「実践的コミュニケーション能力」を養うには,生徒が実際に情報の受け手や送り手となってコミュ
 ニケーションを行う活動が必要ですし,そのような活動を行う際の基本的条件の一つとして,具体的な言
 語の使用場面を設定することが重要です。そのため,新学習指導要領においては,「言語の使用場面の
 例」とともに「言語の働きの例」が示されています。
  言語の使用場面とは,言語が使用される具体的な場面のことであり,言語の働きとは,言語が使用さ
 れる具体的な場面において言語が果たす機能,役割のことです。コミュニケーションにおいては常に,言
 語が具体的な場面において、具体的な働きを果たすために使用されます。
  実際には,ある特定の言語の使用場面を選択し,その場面にふさわしい言語の働きを設定したり,ある
 いは逆に,ある特定の言語の働きを選択し,その働きにふさわしい言語の使用場面を設定したりしてコミュ
 ニケーション活動を行うことになります。
  なお,言語使用場面と働きは次の二つの方法で示されています。
  (1)言語の使用場面と働き(英語に関する科目の内容の(2)の言語活動の取扱いのイの言語の使用
    場面と働き)
  (2)[言語の使用場面の例]と[言語の働きの例](「第6 ライティング」の後)
    
6 外国語科の科目編成
  外国語科に属する英語に関する科目及びその標準単位数は,学習指導要領第1章総則第2款の2の
 表のとおりです。
  また,改善の具体的事項の中で触れたように,今回の改訂で,外国語が必履修教科になったことを受
 け,英語を履修させる場合は,「オーラル・コミュニケーションT」及び「英語T」のうちいずれか一方を履修
 させることになりました。
  なお,今回の改訂では,各学校での多様な外国語がより柔軟に開設できるよう,英語以外の科目は示
 さず,英語に関する科目に準じて学校設定科目として開設できるようになっている。学習指導要領第1章
 総則の第3款に示されているとおり,英語以外の外国語を履修する場合は,学校設定科目として設ける1
 科目とし,そ の単位数は2単位を下らないものとすると規定されています。






 
     科  目  名  標準単位数
オーラル・コミュニケーションT     2
オーラル・コミュニケーションU     4
英語T     3
英語U     4
リーディング     4
ライティング     4






 
 
7 各科目における語数





 
オーラル・コミュニケーションT 中学校で学習した語(900語)+400語  計1300語程度
オーラル・コミュニケーションU 英語Tの総語数1300語+500語  計1800語程度
 英語T 中学校で学習した語(900語)+400語  計1300語程度
 英語U 英語Tの総語数1300語+500語  計1800語程度
 リーディング 英語Tの総語数(1300語)+900語  計2200語程度
 ライティング 学校で学習した語(900語)+400語  計1300語程度

 【問合せ先】  広島県教育委員会指導第二課  (電話) 082−227−5027 [直通]


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更新日:平成12年10月13

担当:教育委員会指導第二課

shidou2@pref.hiroshima.jp