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県外人事交流報告書


派遣校名 広島県立祇園北高等学校
前任校名 和歌山県立紀の川高等学校
(職)氏名 (教諭) 久保 栄一
派遣期間 平成13年4月1日〜平成15年3月31日

<近況>
 祇園北高校の前校長より「面談をするから学校に来てもらいたい」という電話連絡をいただいたので、残務整理をとりあえず済ませ、初めて広島を訪れたのが、平成13年3月28日のことであった。広島駅から電車に乗り、古市橋駅に着くまでの間に車窓から見えた満開ま近の桜の花は、仄かで柔らかく、緊張した気持を和ませるにはうってつけの眺めであったのが、何故か今も記憶に残っている。
 学校は、小高い丘の上にあって、ふもとから校門までは長くて、急な勾配の坂道になっていた。とぼとぼ歩きながら、これから過ごす2年間が、永くて重苦しいものになるのだろうなあ(実際はそうではなかったが)という暗示のように思えた。
 校長室に通され、前校長である蔵本先生より学校の概要説明をしていただくとともに希望する学年や科目、校務分掌、クラブ指導等の聴聞があった後、広島県の教育の現状について、是正指導を受けたこと、それをふまえ、現在は新たな「教育県ひろしま」の創造をめざして教育改革をする段階にあるということ、学校が大きく変わっていくプロセスを現場で体験することによって、理念や手法を学び、成果や課題を整理し、今後の教育実践に役立ててもらいたいというお話をいただいた。これからどのようなスタンスで勤めればいいのか不安であったが、その方向が示されたようで,私にとっては非常にありがたいご教示であった。
 2年間、数学科の一教員として、比較的気楽に過ごさせてもらったと思っている。教科や校務分掌の役割は、大方が負担の軽いものであったし、クラブ(バスケットボール)指導もコーチの先生のアシスタントとしてお手伝いする程度でよかった。これはひとえに管理職の先生のご配慮やその他の先生方の思いやりのお陰であり、たいへんありがたく、深く感謝している。ただ、生徒は,非常に勉強熱心で、質問に来る生徒の数は今までに勤務したどの学校よりも格段に多かった。放課後や長期休業中は、ほとんど質問に来る生徒の対応におわれていたような気がするくらいである。この点では、数学科教員として応分の責任を果たせたのではないかと思っている。
 今年度もあとわずかとなり、3年生の受験指導や卒業式、高校入学者選抜など、学校にとって極めて大切な行事を残しているが、割り当てられた任務を着実に遂行し、微力ながら最後のご奉公をしたいと思っている。今のいつわらざる心境である。

<派遣を終えて・派遣についての意見・感想>
 祇園北高校は、県内の学力向上対策重点支援事業のモデル校の一つであり、学力向上対策に係るさまざまな取組が行われている。例えば、
・ 授業時間確保のための前後期二学期制や一校時65分授業の展開。
・ 完全週5日制により減少した授業日数補充のための夏休みの短縮。
・ 早朝・放課後及び長期休業中の進学補習や計画的SHRテスト(国・数・英)の実施。
・ 放送大学の希望者受講及びその単位認定。
・ 高大連携における広島大学大学院教育学研究科との共同研究や北高総合大学(大学の先生方を招き、模擬講義を生徒に体験受講させることにより、学問研究への関心・意欲を高揚させるとともに積極的に学習しようとする態度を育む取組)の開講。
・ 信頼される学校づくりの一環としてのシラバス(年間授業計画)の作成や学校評価システム(教育活動全般について、客観的・総合的な評価ができるようマネージメントサイクルの考えを取り入れ、その結果を公表しアカウンタビリティを果たすための資料とするとともに私たちの教育活動を改善し、『教育の質の向上』を図る取組)の導入。
・ 各種(教員対象)研修会(難関大学対策・総合問題研究・学校評価システム・小論文指導・キャリアカウンセリング等)の開催。
などが主なもので、紙面に限りがあるためすべては記載できないが、ほかにも数多くの施策が実施されている。研修する上では、非常にめぐまれた環境の学校に配属されたものだと思うし、極めて有意義で効果的な交流人事であったのではないだろうか。これからの私の教育活動に活かせるに余りある成果であると思う。祇園北高校の先生方に感謝するのはもとより、両県の教育委員会関係者諸氏にもお礼を申しあげなければならない。来年度より自県に戻り、広島で学んだことが生きる教育活動をすると同時に「さすがに2年間、県外に行っただけのことはある」と言われる言動をすることが、恩返しになると信じ、これからの教員生活をおくりたいと思っている。
 「和歌山ではこのようなときどうしてるんですか」という意味の質問をよく広島の先生方よりいただいたが、これにはどう答えていいか、いつも閉口した。というのは、私の場合、過去に4高校に勤務しているから、その学校の勤めていた当時のことは、よくわかるものの、和歌山のすべての学校に精通しているわけではないので、問われたことに対して、答えた内容が、広島の先生には、和歌山のすべての学校で行われていることのように伝わるのではないかといつも心配しながら説明していた。また、和歌山における教育改革で、全国的な話題になるようなこと(例えば、公立学校がノースモーキングエリアになることや県立高校の学区が撤廃されることなど)に対して、コメントを求められても、私は広島の教員であり、広島の方と同程度の情報しか入らないので、納得していただけるような気の利いた答え方はできなくて困ったこともよくあった。
 今度は、和歌山に戻れば、広島の状況を同じように尋ねられることがあると思うが、全県のことはわからないし、特別な情報が入るわけではないので同じように困ると思うが、交流で学んだ教育県広島の理念や基本的な考え方、改革の成果や課題等については、わかる範囲で説明する責任があると思っている。真摯に対応したい。
 また、広島には県外から多くの交流教員が来ていて県教委の計らいで、情報交換会を催していただいた。いろんな県の状況を聞く上で、たいへん良い機会であったと思う。ただ、出席者の中には配属校の校長や県教委または地教委の役職者もいて、なかなか本音を出しにくい雰囲気があったように思う。いろんな情報を得たいと思うのは誰しも同じであるというのはよくわかるが、出席者については、あまり仰々しくしないで、もう少し率直な意見を出し合える会であった方がいいのではないかと思った。
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