3. 県民の実践活動に対する支援
 
●現状と課題
 
 環境保全行動に対する意識は年々高まっているものの,実際の行動にはまだ十分に結びついていない状況にあるため,日常生活における県民の自主的かつ積極的な取組を促進する必要があります。
 県では,県民の自主的な環境保全活動を促進し参加の機会の拡大を図るため,各地で行なわれている取組に関する情報提供を行うとともに,地域での緑化活動や美化運動などを行っている団体等の活動支援,「環境保全アドバイザー」の派遣などによる環境保全活動拡大に向けた支援を行っていますが,一層の充実を図る必要があります。
 
図表4-1-2 こどもエコクラブ数,メンバー数
こどもエコクラブ数,メンバー数
資料:県循環型社会推進室 
 
図表4-1-3 緑の少年団員,団員数
緑の少年団員,団員数
資料:県森林保全室
 
[施策の方向]
県民の実践を促す情報提供の充実,双方向交流の促進,参加機会の拡大
県民の実践活動に対する支援の充実
 
●施策の展開
 
(1) 環境保全活動に関する情報の提供
 
 環境保全の意識が県民一人ひとりの環境に配慮した実際の行動に結び付くよう,家庭,地域,職場など,それぞれの活動の場において取り組み可能な具体的な実践事例に関する情報を提供します。
 
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
 
環境保全活動の情報交換[循環型社会推進室]
 
 環境保全に向けた自主的な県民運動を推進するため,環境にやさしいひろしま県民会議構成団体で情報交換します。
 
[平成14年度事業実績] 取組状況をアンケート調査し,総会等で参加者に配布しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,情報交換等を行います。
 
環境ホームページの開設・運営[環境局](再掲)
→詳細はこちら
 
(2) 環境保全活動への参加機会の拡大
 
 環境保全活動への参加意欲がある県民の具体的な行動を促すため,地域での緑化活動や美化運動などを行っている団体等の活動支援するなど,誰もが参加できる多様な活動の場の拡大を促進します。
 
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
 
せとうち海援隊支援事業[環境調整室](再掲)
→詳細はこちら
 
「環境の日」ひろしま大会における環境活動の展示[循環型社会推進室]
 
 6月の環境月間に開催する「環境の日」ひろしま大会において,県民,事業者,行政による環境活動展示を実施し,展示コーナー・体験コーナー・フリーマーケット等を通じて,広く県民に,各主体の取組を紹介します。
 
[平成14年度事業実績] 20団体(事業者11,民間5,行政4)が参加し,環境学習・環境保全活動等を紹介しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,広く県民に環境活動等を紹介します。
 
グリーン・ツーリズムの推進[経営構造室]
 
 農山漁村で育まれた自然・景観・文化・歴史等のストックを生かしたグリーン・ツーリズムは,中山間地域の活性化や,都市と農山漁村の相互理解促進の重要な施策として積極的な推進が求められているため,これを具体化するための事業を実施します。
 
[平成14年度事業実績] 地域農業者や関係者などとの連携,役割分担,活動計画等の実践計画及び実践計画に基づく農林漁業体験活動を2地区で実施しました。また,農業・農村に対する理解を深めるために,小学校の授業の一環として,子どもたちの農業・農村体験活動等を1地区で実施しました。(H14:都市農村交流対策事業)
[平成15年度事業内容] グリーン・ツーリズムに関係する地域住民が参画して,地域の農山漁村資源の再評価等を行なうワークショップ活動等,地域の自発的な取組により,2地区で都市住民を受け入れる体制を整備します。(H15:地域連携システム整備事業)
 
県民参加のみどりづくり推進事業[森林保全室](再掲)
→詳細はこちら
 
里山林整備推進事業[森林保全室](再掲)
→詳細はこちら
 
広島県道路里親制度(マイロードシステム)[道路保全室]
 
 県の管理する道路において,住民・企業の道路清掃や緑化作業などの活動を,表示板の設置や保険への加入などに対して支援します。
 
[平成14年度事業実績] 新たに18(総計109)の里親を認定し,7,054人の参加を得て延長170.5kmの道路清掃等を行ないました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,制度の周知を図るとともに,活動を支援します。
 
河川清掃等業務委託事業[河川管理室](再掲)
 
 県が管理する河川において,県民の河川愛護意識の普及・向上を図るとともに,良好な河川環境を保持するため,清掃作業等について市町村を通じて住民団体に委託することとし,清掃活動等を行う住民団体を支援します。
 
[平成14年度事業実績] 281団体が清掃活動等を行いました。
[平成15年度事業内容] 281団体が清掃活動を行います。
 
河川清掃「クリーン太田川」[河川管理室](再掲)
 
 太田川流域の河川において,クリーン太田川実行委員会の主催により清掃を実施しており,県も河川管理者として積極的に参加し,清掃活動を行う住民団体等を支援します。
 
[平成14年度事業実績] 約20,000人が参加し,清掃活動等を行いました。
[平成15年度事業内容] 約21,000人が参加し,清掃活動を行います。
 
広島県ラブリバー制度推進事業[河川管理室](再掲)
 
 県が管理する河川において,河川敷の清掃,除草などの河川美化活動等を行う団体をラブリバー認定団体として認定し,サインボード(活動団体が当該河川で美化活動を行っていることの看板)の設置,損害・賠償責任保険の加入などを行うことでその活動を支援します。
 
[平成14年度事業実績] 4団体を認定し,活動を支援しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,制度の周知を図るとともに活動を支援します。
 
都市公園事業[都市整備室]
 
 世羅高原の風土や優れた自然環境を活用しながら,地域交流や自然とのふれあいを通じ,環境問題に対する意識の向上に資する場として,県民公園を整備します。
 
[平成14年度事業実績] 世羅高原に県民公園を整備しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,県民公園を整備します。
 
平成15年度に講じる施策(新規)
 
緑づくりネットワーク構築事業[森林保全室](再掲)
→詳細はこちら
 
(3) 県民の環境保全活動の拡大に向けた支援
 
「環境保全アドバイザー」に関する情報提供などにより,県民の自主的な環境保全活動に対する支援を行います。
次世代を担う年齢層に対する環境教育・環境学習の重要性を考慮し,「こどもエコクラブ」「緑の少年団」をはじめとして,子どもたちの環境保全活動を推進・支援します。
県民の自主的な環境保全活動のさらなる展開を図るため,活動状況等に関する情報交換の場を設けるなど,取組を実施している個人や団体のパートナーシップ化,ネットワーク化を促進します。
県民,事業者,行政の各主体間の連携を図り,環境に配慮した自主的行動を促進するため,「環境にやさしいひろしま県民会議」「ひろしま地球環境フォーラム」などの環境保全組織の支援を行い,これらと連携した取組を推進します。
県民の環境保全のための実践的な取組を喚起し,それを支援することでさらに大きな取組へと拡大を図るため,情報提供・普及啓発,環境教育・環境学習,実践活動の各段階を総合的に支援できる体制の構築に向けて検討を行います。
 
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
 
せとうち海援隊支援事業[環境調整室](再掲)
→詳細はこちら
 
環境にやさしいひろしま県民会議の支援[循環型社会推進室]
 
 県民,事業者,行政の57団体で組織する「環境にやさしいひろしま県民会議」が実施する省資源・省エネルギーやリサイクルなどの環境に配慮した取組を進めていくための講習会等の普及啓発事業に対して,県は,事務局として活動を支援します。
 
[平成14年度事業実績] 各種事業の共同実施,情報提供などを行いました。
コラム参照
[平成15年度事業内容] 引き続き,事務局として活動を支援します。
 
■環境にやさしいひろしま県民会議
環境にやさしい県民会議
 
こどもエコクラブの支援[循環型社会推進室](再掲)
→ウの詳細はこちら
 
環境保全アドバイザーの育成[循環型社会推進室]
→エの詳細はこちら
 
緑化研修及び緑化指導相談[森林保全室]
 
 自然保護思想の啓発や緑化技術の普及を図るため,県民をはじめ公共団体や企業の緑化担当者を対象に緑化に必要な知識,技術の研修を行います。また,緑化思想の高揚及び緑化技術の普及啓発を図るため緑化相談等を実施しています。
 
[平成14年度事業実績] 93回の緑化研修と789件の緑化相談を行いました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,研修等を実施します。
 
平成15年度に講じる施策(新規)
 
環の応援団支援事業[循環型社会推進室]
 
 県民による環境保全活動の活性化や資源の有効活用の促進を図るため,産業廃棄物埋立税を活用し,NPOが県内で行う廃棄物抑制活動に対して支援します。
 
区分 概要
助成対象者 特定非営利活動法人及び所定の要件を満たす任意団体(以下「NPO」という。)。ただし,企業や公共機関は対象外
対象となる活動 NPOが県内で行う廃棄物抑制活動(活動場所を管轄する市町村と連携して実施する活動)
(1) 廃棄物の3R推進活動
※3R(リデュース:減量,リユース:再使用,リサイクル:再利用)
(2) 他の団体のモデルとなるような取組
(3) 他の地域団体,市民グループ,企業等と連携して行う活動
対象となる活動の実施期間 助成金交付決定日〜平成16年2月末日
助成金の額 ・活動に要する費用の2分の1以内
・下限は5万円,上限は150万円


コラム● 環境にやさしいひろしま県民会議
 
[実施主体名等]
県民・事業者・行政等57団体
 
[目的]
構成団体が連携しながら,環境にやさしい地域づくりを主体的に進め,恵み豊かな環境を次世代に引き継いでいくことを目的に各種の取組を行っています。
 
[設立年月日]
「地球温暖化防止京都会議(COP3)」を目前に控え,環境に配慮した積極的な行動を求める社会からの声が高まる中で,平成9年11月26日に設立されました。
 
[取組への基本方針]
環境保全に関する県民意識の高揚と環境にやさしい生活様式の定着に向けて,次の分野での取組を展開していくこととしています。
 
(1) 省資源リサイクルの推進
(2) 省エネルギー,自然・未利用エネルギーの利用推進
(3) 環境に配慮した生活様式,消費・調達,事業活動
(4) 良好な環境の保全・創造に関すること
(5) その他環境にやさしい県民運動の推進に関すること
 
各年度の事業事例
 
 
構成団体
広島県生活協同組合連合会,(社)広島消費者協会,呉市消費者協議会,因島市消費者協会,廿日市市消費者協会,広島県漁協女性部連合会,広島県の女性の地位向上と社会参画をすすめる会,(社)広島県子ども会連合会,広島県公民館連合会,(財)広島県環境保健協会,広島県PTA連合会,広島県高等学校PTA連合会,広島市PTA協議会,日本労働組合総連合会広島県連合会,広島県建設労働組合,広島県商工会議所連合会,広島県商工会連合会,広島県中小企業団体中央会,広島県経営者協会,(社)広島青年会議所,ひろしま地球環境フォーラム,広島県農業協同組合中央会,広島県森林組合連合会,広島県漁業協同組合連合会,(社)広島県産業廃棄物協会,(財)広島県環境保全公社,広島県石油商業組合,(社)広島県LPガス協会,広島県電器商業組合,広島県家電流通協議会,日本自動販売協会中四国支部,日本チェーンストアー協会中国支部,広島県スーパーマーケット協会,(社)広島県タクシー協会,広島県個人タクシー協会,(社)広島県バス協会,(社)広島県トラック協会,(社)広島県ダンプカー協会,(株)中国新聞社,日本放送協会広島放送局,(株)中国放送,広島テレビ放送(株),(株)広島ホームテレビ,(株)テレビ新広島,広島エフエム放送(株),(財)省エネルギーセンター中国支部,(財)広島地球環境情報センター,中国経済産業局,中国運輸局,中国地方整備局,環境省中国地区環境対策調査官事務所,広島森林管理署,広島県市長会,広島県町村会,広島県,広島県教育委員会,広島県警察本部


●コラム● 道の里親(マイロードシステム)
 
[活動名]
広島県道路里親制度(マイロードシステム)
 
[実施主体名等]
広島県道路保全室
 
[目的]
マイロードシステムは,道路への愛着心の向上,道路利用者のマナー向上,散乱ごみの減少,行政と民間のパートナーシップの推進が図られることをめざしています。
 
[活動概要]
 マイロードシステムは,広島県が管理する道路を対象に,平成12年4月から開始した「広島県版道路アダプト・プログラム」です。ボランティア活動に意欲を持つ住民・団体,NPO,企業の方々を「道の里親」に認定し,広島県管理道路の一定区間(100m以上)の清掃や緑化などを引き受けてもらう制度です。広島県は,希望に応じて,「道の里親」の名前等を記した「表示板」を道路脇に設置するとともに,清掃・緑化活動中の万一の事故やけがに備えて,傷害保険及び賠償保険に加入しています。市町村は「道の里親」が収集したゴミの処分等に協力します。また,清掃・緑化活動を行ううえで必要な専門知識を提供するため,マイロードアドバイザー制度を設けています。
 平成15年7月末現在,「道の里親」に登録する個人・団体は114で,区間は約185kmに達しています。
 
長岡鉄工建設株式会社(庄原市) 小田白竜会(河内町)
 
[参加者からのコメント等]
 「無理せず,時間の余裕のある時に」をモットーに,気楽な気持ちで活動に励んでいます。海田町の町花がひまわりですので,里親の区間をひまわりでいっぱいにしようと考え,「道の里親」に参加しました。
 活動を継続させるために一番大切なのは,強制しないことではないでしょうか。「参加したくないと言ってもそれはそれでいい」という姿勢は,逆に地域の連携を深めているようにも感じます。「心の悪い人なんてそうはいないのですから,誰かが一生懸命やっているのを見れば,自然と活動範囲が広がっていくものだ。」と信じています。実際に「道の里親」を始めてみて,その近辺の商店主が表に出てゴミ拾いをしている姿をよくみかけるようになりました。
 活動の範囲はどんどん広がっていき,今では,海田大橋にひまわりを600鉢並べようかという構想まで出てきています。海田の町を「美しく飾りたい」というのが今の目標ですね。
 
「ひまわりの会」里親インタビューより
 
熊野町スポーツ少年団(熊野町) 黒瀬エコポリス研究会(黒瀬町)

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